気力が湧かないという難題とその対応例

筆者はASDとADHD、いわゆる広義の発達障がいと診断されています。また、LDの特性も見られ日々、自身の新たな特性・傾向の発見と理解を繰り返しています。本コラムでは、筆者自身が普段感じている事や課題など、当事者の言葉として発していきます。さて、初回のテーマは「気力」についてです。

「待ち遠しさ」で気力が湧きますか?

突然ですが質問です。何か待ち焦がれている事が近い将来あるとします。この「待ち遠しさ」に対して、次のうち、どちらの想いを抱くでしょうか。

−来月のイベントが楽しみで、それを糧に頑張れる
−来月のイベントは楽しみだけど、今が楽しくないから頑張れない

前者は「待ち遠しさ」を気力に変えることができる人でしょう。一方、後者は「待ち遠しさ」が気力に変わりにくい人です。ちなみに筆者は後者に当てはまります。では、筆者はどんな時に気力が湧くのか、振り返ってみると、以下の仮説にたどり着きました。

「日々、『刺激』という燃料を継ぎ足し、『興味』を湧かし気力に換える」

つまり、常時刺激を欲しているわけです。「待ち遠しさ」も刺激の一種ですが、長期的な刺激です。常時刺激を欲している筆者にとっては物足りません。

「力が出ない」という気力の問題

実は筆者、刺激が足りないと気力が湧かず、ダラダラ過ごしてしまう事が多いのです。これは所謂「無気力」とは異なり、確固たるやる気や意志があるものの、身体に力が沸き起こらず、動けなくなる感じです。日々の仕事は業務内容も異なるため刺激もあり、意欲的に取り組めていますが、それ以外の日常生活に支障を来たす事も少なくありません。

−まぁ、そんな日があってもいいじゃないか。

こう言葉を掛けて頂くことも多いのですが、とにかく身体が動かないのです。その結果、帰宅しても「食べる事」が出来ず、「寝る事」が出来ず、「起きる事」が出来ずと、あと一歩で生活が成り立たないような状況によく陥ります。これでは「そんな日があってもいいじゃないか」とはなりませんよね。

「変化」は最高の刺激


そんな筆者にとって、最高の刺激は「変化」です。職場に新しいメンバーが変わった、引っ越したなど、環境の変化も刺激になります。その一方で、筆者は周囲の音に敏感だったり、場の空気を読まなければならないコミュニケーションに難があるため、周囲の「安定」も同時に求めてしまう部分があります。絶えず変化を求めるのであれば、カフェや人通りの多いところで仕事をすれば良さそうですが、これがまた一筋縄では行かないところですね。

試行錯誤して辿り着いた刺激、「言語学習」


そこで、色々試してみて、現在のところ最も刺激となるものは「言語学習」であるらしい、という事がわかってきました。筆者は定期的に海外に行き、積極的に英語や現地語で会話します。「場の空気を読まなければならないコミュニケーションに難がある」と述べましたが、海外ではコミュニケーションを苦に感じません。それは、お互い違う文化的背景を持っているため、互いに異なる立場であることを自然と認識した上で会話ができるからだと筆者は考えています。

成長したと思えることが「変化」になる

では、なぜ「言語学習」が刺激になるのでしょうか。それは、言語学習を始めとした「まなぶ」という事が、絶え間ない成長の連続であるからです。これはスポーツなど身体を動かすことにも当てはまる事ですが、何か終着点があるわけではなく、学べば学ぶほど新しい事がわかり、身に付いていきます。これは「まなぶ」という営みを続けていく限り続き、何かを身に着けたとき、人は成長します。この「成長」した瞬間が「変化」であり、「刺激」なのです。

刺激を生み出す「挑戦」


前述の通り、筆者は海外で積極的にコミュニケーションを取りますが、この時、流暢に喋れるか否かは気にしません。とにかく話し、アウトプットする事で学び、自身の成長を感じているのです。これは新しいステージへの「挑戦」のようなもので、自分の知らない新しい世界を知る事で、刺激を生み出しているのです。そのため、その場で通じなかろうが、その表現を知らなかろうが構わず、自分の知っている情報を総動員して、果敢に話します。いつも相手をしてくださる現地の方々には頭が上がりませんが、もうこれがとにかく楽しいのです。なんといっても、話す事がアウトプットとなり、相手の話した内容や、その反応など膨大な量のインプットが得られます。これが常に自分の成長を促し、それが変化となり筆者の刺激になっているのです。

まとめ

今回は「気力」についてお話しました。気力の浮き沈みは人によって大きく異なりますが、無気力になる理由、気力が湧く瞬間を意識しておくと、体調管理の面で、解決すべき課題や、起こすべき行動が明確化してきます。筆者の今後の課題は、もっと刺激を受容する機会を増やすこと、そして、刺激となり得るものをさらに見つけていくことですね。ではまた次回、お会いしましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

野添 浩一郎(阪和興業株式会社 大阪本社 人事部業務サポート)

1989年生まれ。2015年末、ADHD(注意欠陥多動性障がい)と ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受ける。その後、LD(学習障害)の特性がある事も判明する。それまで自身を健常者と見做して生活してきたが、生活の様々な場面で支障を来しており、それ以降、自身の障がい・特性を認めた上で活かすようになった。永らく、自身の特性から低い自己肯定感に苛まれていたが、大学院時代に知り合った留学生たちと、留学先の米国で自己肯定感を高めることになる。2016年末より現職。