新型コロナウイルス対策として、セミナーをオンラインで開催

私の仕事は、障がい者の人たちをテレワーク(主に在宅勤務)で雇用している企業や雇用しようとしている企業へのコンサルティングです。
テレワークを導入していない企業には、テレワークを活用していくためのシステム整備から、規則などの準備、業務の見直し、社員の意識改革まで、様々な側面から支援をしていきます。すでにテレワーク制度のある企業に対しては、障がい者の人をテレワークで雇用する際の採用活動やマネジメントをサポートしています。
その一環として、「障がいがあるために、通勤することが難しい」、「人が多く集まるオフィスでは、障がいのために働くことが難しい」、「通勤することの負荷が大きく、通勤では長く働けない」という障がい者の人たちに、テレワークという働き方を知ってもらう活動もしています。

テレワークを知ってもらう


具体的には、テレワークのセミナーを実施するのです。
セミナーでは、テレワークの概要をはじめ、実際にテレワークで働く人や雇用している企業の事例を紹介したりします。ただ話を聞くだけでなく、実際のケースを見ることで、参加者の人たちの反応が大きくなることを感想などから知りました。セミナーは、自分たちで主催することもあれば、主催者から講師の依頼を受けて講演することもあります。これまでに、北海道から九州まで、さまざまな場所で行ってきました。

ところが、私たちにも、新型コロナウイルスの影響が出てきました。人が多く集まるイベントとして、セミナーの延期や中止などの連絡が入ってくるようになったのです。昨年から、各地でのセミナーも増え、手応えを感じてきていただけに、テレワークのことを周知できるセミナーを中止にしたくないと思いました。
そこで、私たちが主催したり、運営に携わったりしているセミナーについては、中止せず、オンラインで実施することを検討しました。
これまでも、「外に出るのが難しい」という障がい者の人たちを対象にしたセミナーなのに、会場方式では、対象者の参加が難しい、ということにジレンマがありました。実際、一部のセミナーでは、会場から中継するという形で参加してもらったことはありました。
しかし、会場を使わず、参加者も、そして講師も、全員がそれぞれ違う場所から参加するといったセミナーは、実施したことがありませんでした。

オンラインで実施するには、いくつもの課題があるようで、実際には踏み切れずにいたのです。例えば、最大の課題は、通信状況です。これまで行って来たWeb会議でも、アクセスした人の通信環境があまりよくない場合に、途中で通信が切れて、会議から抜けてしまうことがありました。そのため、途中で抜けてしまった場合の対処をどうするか。
また、Web会議ツールを使ったことのない人もいるでしょう。そういう人たちが、きちんとアクセスできるかどうか。さらに、よくあるケースでは、アクセス後に、きちんと音声が聞こえない場合があります。聞こえない場合の対処をどうするか。
こうした課題や心配事は、経験がないだけに数えればきりがありません。一方で、こういう時だからこそ、中止ではなく、開催を選択すべきだと判断しました。そこで、通常使っているWeb会議ツール(Zoom)で、セミナーを実施することにしました。

オンラインセミナー開催


通信状況に関しては、こちらでは対処できないため、もし通信が切れて、途中で会議から抜けてしまった場合に備え、録画することにしました。アクセスできるかという課題については、アクセスへの説明を事前に丁寧に行いました。また、音声が聞こえない人には、一度ログアウトしてもらい、再度アクセスしてもらうことで、すべてのケースで聞こえるようになりました。
結果としては、参加ができなかったという人も、途中で抜けてしまったという人も、一人も出ず、無事終了することができました。

実施前は不安もありましたが、実際に行ってみると、意外とスムーズにできたという印象でした。そこで、次のセミナーでは、Zoomにあるセミナー用の機能(ウェビナー)で実施してみることにしました。
ウェビナーでは、パネリストと視聴者という2つの設定があります。セミナーに参加する人たちは、視聴者になります。視聴者は、アクセスした時点で、カメラとマイクはオフの状態のため、音声が入ったり、自分の顔が映ったりすることはありません。

最初に行ったセミナーでも、顔が映ることに抵抗があるという意見もあったので、参加者の人たちのカメラはオフにしてもらうようにアナウンスしましたが、アイコンは自分で操作できるため、何かの拍子で映る可能性もありました。その点、ウェビナーの場合は、カメラもマイクもアイコンそのものがないため、映ってしまうという心配はありません。
視聴者が操作できるのは、「チャット」「手を挙げる」「Q&A」です。チャットは、参加してきた場合に、音声が聞こえるかどうかの確認を行うほか、主催者側からのアナウンスを音声と共に行うことができます。また、参加者の人たちにとっても、連絡したいことがあった場合に利用することができ、安心です。
「手を挙げる」機能は、質問がある場合に有効です。手が挙がった人に対しては、主催者側がマイクをオンにすることができるので、質疑応答の時間を設け、その場で質問してもらい、パネリストが回答するということができます。

ウェビナーでのオンラインセミナーも、無事終了しました。急きょ変更したオンライン開催でしたが、問題なく実施できることが分かりました。
オンライン開催であれば、会場に行くことができない人でも、参加が可能になります。また、こうしたセミナーは、都市部で行われることが多く、地方に住んでいるとその機会さえ少ないですが、オンラインで実施するのであれば、どこに住んでいても、参加の機会は変わりません。
今回の経験を活かし、テレワークという働き方を知ってもらうためのセミナーだからこそ、もっと積極的にオンラインでの開催を実施していきたいと思っています。

ABOUTこの記事をかいた人

佐藤 愛(株式会社テレワークマネジメント)

テレワークコンサルタント。企業のテレワーク導入のコンサルティングに携わった後、2016年からは、障害者雇用におけるテレワーク活用のコンサルティングを手がける。厚生労働省による障害者のテレワーク雇用に関する事業に3年間携わり、20社以上にコンサルティングを実施した。同事業では、ガイドブックやマニュアルの執筆も担当。その後は、テレワークでの障害者雇用に取り組む企業のコンサルティングを支援している。また、2018年より、就労継続B型事業所におけるテレワーク支援として、遠隔による業務指導やマネジメントも継続している。