統合失調症患者である私が就労で直面した課題とその解決策

初めまして。私は綿まるみと申します。
私は、統合失調症とてんかん、甲状腺機能低下症と共存しながら、日々を過ごしています。

今回お伝えしたいテーマは、タイトルにある通り、私が就労で直面した課題とその解決策についてです。それに先立って、まずは統合失調症の説明を簡単にします。

統合失調症とは、『脳の様々な働きをまとめることが難しくなるために、幻覚や妄想などの症状が起こる病気です。』
『発症の原因は正確にはよくわかっていませんが、統合失調症になりやすい要因をいくつかもっている人が、仕事や人間関係のストレス、就職や結婚など人生の転機で感じる緊張などがきっかけとなり、発症するのではないかと考えられています。』
>>引用:統合失調症|こころの病気を知る

統合失調症に関するイメージは様々であることを承知しています。そこで、今回は『統合失調症患者である私が就労で直面した課題とその解決策』を参考文献を元に私自身の経験も交えてご紹介いたします。

自己紹介

私は、京都東山の山奥にある女子大在学中に初めて統合失調症を発症しました。入学してほとんどすぐの発症であったため、環境の変化が最も大きな要因であったと、今では思っています。

その後、何とか4年で大学を卒業できたものの就職なんてできるはずもありません。大学に残る口実として、科目等履修生という制度で教員免許取得のための授業を2年間受けました。

その間に、同じく京都で2留が確定した夫と出会い、結婚に至ります。すぐ東京へ上京し、学童保育でパートとして働いていた頃に、コロナ禍も相まって統合失調症を再発しました。

その後、学童を辞め療養期間を経て、現在は綿まるみとして細々とwebライターをしています。

統合失調症患者である私の就労課題

統合失調症患者である私の就労課題を以下に簡潔にまとめ、詳細を後述します。

  1. 統合失調症の薬を中断したこと
  2. 度重なるストレスの対処法を身につけていなかったこと
  3. 環境を変えるという発想がなかったこと

前述の通り、上京後すぐ私は学童保育でパートとして働きました。この時、病気や障がいを伝えず就労する「クローズ就労」を選択。というのも、結婚・上京を機に体調が良くなり、統合失調症であることを伝えるメリットを感じられなかったためです。

しかしその時期に、統合失調症になり数年経過していたこともあり、愚かなことに服薬を中止してしまったのです。すぐに再発とまではならなかったのですが、働き始めて1年経つ頃に変化がありました。コロナ流行による学童保育への皺寄せや、学童保育の経営母体の変化、それらによる人間関係のもつれなどから、統合失調症が再発しました。

また、私はストレスに対する感度が大変鈍感であることに、のちに気付きます。
学童保育で勤めていたこの頃は、コロナ禍も相まって仕事や人間関係が混沌を極めました。家に帰っては夫に泣きながら当たり散らす日々。そのような自身の限界に全く気づくことなく、再発するまでほぼ毎日働き続けました。

このような状況で、ベースに服薬の中止があるため、統合失調症の再発は当たり前だったのでしょう。

統合失調症が再発したものの、運良くすぐに入院。入院生活上で、統合失調症の症状や原因・治療法等の知識を得る「心理教育」を個別で受けました。

その時に、精神科の医師や看護師さんに、「同じような仕事はすぐに復帰できるかと思うが、今の職場に復帰することはおすすめしない」と言われていました。しかし、様々な条件が私の中に存在していて、この頃はすぐに職場を変更するという発想がなかったのです。

以上が私の直面した就労における課題の詳細です。

就労課題における個人的解決策

前述した就労課題における個人的な解決策を以下にまとめ、詳細を後述します。

  1. 医師の指示がない限り薬の減薬も断薬もしない
  2. カレンダーに毎日自分の体調をメモする(セルフモニタリング)
  3. 環境を変えることに臆病にならない

現在私はフリーのwebライターとして細々と活動しており、対面で人と関わる仕事体系ではなくなりました。

それを踏まえて、日常生活を送る上で特に大事にしていることは、上記解決策の1〜3の通りです。これらについて参考文献をもとに解説します。

①医師の指示がない限り減薬も断薬しない

『統合失調症は非常に再発しやすい病気であり、初発の精神病症状が軽快しても、服薬を中止した場合、1年以内に約80%、2年以内に98%の方が再発するという報告もあります。』
『適量の薬物療法を継続することが大変重要になります。』
>>引用:久住一郎先生に「統合失調症」(薬物療法)を訊く

前述の通り、私も服薬を中止してから2年以内に再発しました。初発の統合失調症では、病名が「非定型精神病」と異なっていたことや、外来通院であったため、心理教育を受けていませんでした。

統合失調症の再発で入院したことにより心理教育を受けて、継続した適切な薬物療法がいかに大切なことかを学びました。統合失調症患者を持つ私にとって、服薬の継続・管理は欠かせないものです。特に、就労の継続を目指す場合、できるだけ再発を抑えることも自身の責務だと考えています。

ただし、服薬の継続のみで再発を完全に防げるとは言い切れないのが現状のようです。服薬継続のみの治療法だと、約30%の人々が再発するとのデータもあります。
>>参考文献:統合失調症の再発率と治療法、薬とリハビリを組み合わせた方法とは | NHK健康チャンネル

再発防止率を高めるためには、服薬継続とリハビリテーション、再発の予兆を捉えることが大切です。
>>参考文献:統合失調症の再発・再燃予防

今回は以下に、再発の予兆を捉えるために有効な、セルフモニタリングについて解説します。

②カレンダーに毎日自分の体調をメモする(セルフモニタリング)

カレンダーに記した実際のセルフモニタリング表

『自分の疲れやストレスに気づくためには、自分のこころやからだの状態をじっくりと観察することが必要です。』
『このように自分で自分の状態を観察する作業は、“セルフモニタリング”と呼ばれています。』
>>引用:シリーズ:ストレスとうまく付き合うために①-1 ~セルフモニタリングについて~ | NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター

前述の通り、体調を自身で振り返ることをセルフモニタリングと言います。

以前は入院した時に病院で頂いたセルフモニタリングシートに、睡眠時間や不安、幻聴の程度を記入していました。今ではセルフモニタリング用に百均でカレンダーを購入し、そこに体調を記録しています。

総合的な体調の良し悪しをカレンダーの日付に「青丸(良)→黒丸(やや悪)→赤丸(危険)」という基準で印を記入。私は、黒丸や赤丸が続くようであれば、すぐに外来予約や入院を検討するようにしています。

現在は青丸ばかりで調子の良い時が多いですが、退院直後は調子の悪い時の方が多かったように思います。退院直後は、セルフモニタリングシートを振り返っては、「数年後にはきっと良くなっているはずだ」と自分に言い聞かせていました。

このように、セルフモニタリングシートは体調管理の振り返りにも適しています。また、当時の自分の気持ちも鮮明に蘇ってくるため、おすすめです。

※ご自身のセルフモニタリングについては、専門の医師や看護師等にまずはご相談をお願いします。

③環境を変えることに臆病にならない

環境を変えることについては、私見にしか過ぎません。

私は様々な条件から、すでに心が限界を迎えていたにも関わらず、学童保育を辞める選択が遅れました。というのは、児童支援員の資格取得を打診されたことや、その資格が欲しかったこと、その資格がプライベートで取得できることを知らなかったこと、経営母体の変化による職場環境の改善など、様々な期待が私の胸の中にありました。

しかし、実際人員というのは、健常者であれ障がい者であれ、替えが聞くのが実状ではないでしょうか。そのことに気づいてから、どうしようもないほどつらい時には、私はすぐにその場所から逃げようと今では考えています

無責任かもしれませんが、自分を守れる人は自分しかいないと気づいたためです。

現在の私について〜まとめの代わりに〜

いかがでしたでしょうか。文献を参考にしつつ私見も述べさせて頂きました。

統合失調症を持つ人々にとっては、服薬継続・管理と体調管理は欠かせないものです。

また、私は思い切って環境を変えて、学童保育からwebライターとして仕事をするようになりました。私にとっては現在の仕事体系が肌に合うようで、マイペースに仕事もできて充実感があります。返って、統合失調症の再発という過去の出来事が、私の背中を後押ししてくれたのではないかと思うようになりました。

最後に、統合失調症や様々な病気・障がいを持っていようと、社会に馴染める世の中であって欲しいと切に願っております。

この記事がどなたかのお役に立てますと幸いです。

参考文献

統合失調症|こころの病気を知る

疾患特性を職場に説明し職場復帰が成功した統合失調症の事例

久住一郎先生に「統合失調症」(薬物療法)を訊く

シリーズ:ストレスとうまく付き合うために①-1 ~セルフモニタリングについて~ | NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター

統合失調症の再発・再燃予防

統合失調症の再発率と治療法、薬とリハビリを組み合わせた方法とは | NHK健康チャンネル

ABOUTこの記事をかいた人

▼プロフィール:
京都女子大学文学部卒業後に教員免許を取得し、教育保育関連を経てwebライターへ。
小学生の頃よりてんかん、大学在学中に統合失調症、甲状腺機能低下症を発症。「普通に生きることが難しい」と感じた経験から、様々な病気と共存しつつも平凡に生きることを目標にしている。