あなたの職場では障がい者の方たちと十分な「コミュニケーション」は取れていますか?

皆さんは、普段から従業員の方々とどの程度コミュニケーションが取れていると感じていますか。

どの程度なのかと聞かれても、感覚的なところが大きく、目で見て図ることができる物差しもありませんし、数値化するのも難しいことなので答えづらいと思います。
最近はIT化が進み通信環境が整備され、スマホなどのツールが一般的に普及したため一昔前と比べてもコミュニケーションの方法が大きく進歩しました。その結果、これまではつながることが難しかった人たちと簡単につながることができ、時間も場所も気にせずに連絡を取ることが普通にできるようになりました。とても便利な世の中になりました。
しかしながら、人と人との関係性は希薄になってきているという印象です。隣の人がどのような人なのかを知ろうとしない世の中になり、知らなくても問題なく生活していくことができる時代になってきました。メリットでありデメリットでもあると思います。

これらは、障がい者の求人や採用にも影響が出ています。
以前までであれば障がいのある人たちが求職活動をするときにはハローワークを中心とした行政機関や一部の就労系福祉施設しかありませんでした。それが今では、障がい者に特化した人材会社や求人サイト、多様化した就労系福祉施設など、就職を後押ししてくれる選択肢がとても多くなりました。企業にとっても同様に、求人や助成金などの相談はハローワークや支援機構が主な先でしたが、現在は上記に加えコンサルティング会社や情報系サイトも徐々に増えてきましたので、法律助成金や他社の情報なども取得でき易くなったという点では選択肢が多くなってきていると思います。

このような時代に自社で雇用している障がいのある従業員と普段からコミュニケーションが取れる環境作りという点も考えていきたいと思います。

コミュニケーション不足の影響

例えば、障がい者の雇用をしている企業が抱える課題として、

  • 苦労して障がい者を採用しても定着せずに辞めてしまう
  • 従業員との間でトラブルが発生する(人間関係)
  • 楽しそうに働いていない

といった点に心当たりがあるのであれば、障がい者とのコミュニケーション不足が問題として考えられます。法定雇用率達成のために義務だけで取り組みをしている企業に多く見られる傾向だと思います。
障がい者の雇用を進める際に企業の人事担当者に対してお話をする上で重要なことのひとつに障がいの特性と特徴に関する「理解」があるとお伝えしています。
この障がいの特性と特徴に関する「理解」には、雇用前に配属部署の従業員に対して(本人承諾の上)情報共有をするというものがあります。これは、障がいのある本人への配慮や接し方に関連してきますが、その一方で周囲で一緒に働く従業員の不安やストレスの解消にも役立つ行為となります。

実は、障がいに関する「理解」は「雇用後」も継続されます。企業の雇用定着に関する取り組みのひとつとして、雇用している障がい者と人事担当者もしくは管理者との間で1ヶ月に1回程度の定期面談を実施しているところが多いという印象です。定期面談により「普段の困り事」「悩み」などを聞き、改善や工夫をしていくことはとても良い取り組みです。また、周囲で一緒に働いている従業員からも数ヶ月に1回の頻度でヒアリングを行うのも効果があります。一緒に働いている従業員の目線から見える気付きも重要になってきます。

形だけのコミュニケーションに注意

但し、それだけで終わっているとすればしっかりとしたコミュニケーションを取っているとはいえません。
普段から愚痴もいわず、周囲とも会話をしながら勤務している障がい者が、ある日突然不満が爆発し、退職してしまうという話は決して珍しいことではありません。
例えば、

  • 「〇〇さんは耳が聞こえないから会議には参加してもらわなくてもいいだろう」
  • 「真面目な△△さんにはこれからも同じ作業だけをずっと続けてもらおう」
  • 「雑用をお願いしても☆☆さんは嫌がらないから良い人だよね」

というように本人の意思とは関係なく周囲が勝手に決めて進めてしまっていることや思い込みで仕事をお願いしてしまっていることはないでしょうか。もし、上記に挙げたようなことが社内で見られるようであれば、義務だけで取り組んでいるコミュニケーション不足な職場環境といえるでしょう。

周囲による勝手な決めつけや思い込みが障がい者雇用の邪魔をしてしまっている企業ほど、法定雇用率を達成できずに罰金を支払っています。実は、コミュニケーション不足がその原因だということに気付かず頭を悩ませています。障がい者の雇用定着には「理解」が大切ですが、「理解」を進めるためには普段からの「コミュニケーション」も大切であるということです。

ここで、改めて「コミュニケーション」という言葉を調べてみましたら、下記のようなことが書かれていました。

【コミュニケーション】
社会生活を営む人間が互いに意思や感情、思考を伝達し合うこと。言語・文字・身振りなどを媒介として行われる。

[補説]「コミュニケーション」は、情報の伝達、連絡、通信の意だけではなく、意思の疎通、心の通い合いという意でも使われる。

[補説]にもありますように、「互い」に「意思の疎通」「心の通い合い」が行われることで「コミュニケーション」をしたことになります。

ABOUTこの記事をかいた人

上前 忠司 (日本障害者雇用総合研究所代表)

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム