レポート:『ユースタイルラボラトリー株式会社』

法律で障害者雇用を義務化されている企業(従業員数45.5人以上)は一部の例外を除いて法定雇用率2.2%以上を目標として、企業の置かれている状況に関係なく達成を求められますので、人事担当者は様々な情報を元に障がい者の求人・採用活動に取り組んでいます。
しかしながら、業種・業態によっては障がい者の雇用を上手く進められないといった声を聞くことも少なくありません。例えば、「医療系」「建設・土木」「警備・管理」など。但し、個々の企業で見た場合、それぞれの会社で工夫や努力の結果として素晴らしい障害者雇用を実施しているところがあるのも事実です。

今回、ミルマガジンでご紹介する障害者雇用の実践企業は『ユースタイルラボラトリー株式会社』です。こちらの企業は重度障がい者や高齢者を対象とした訪問介護・各種ケアサービスを提供する会社となります。


【ユースタイルラボラトリー株式会社】
https://eustylelab.co.jp/

取材にあたりまして、ご協力いただきましたのは最高人事責任者の中原洋さん、広報・宣伝マネージャーの植田覚之さん、システム部の宮尾勝巳さんです。こちらの会社では、自社のサービスを上手く活用した雇用を実践されているのですが、他の会社でも参考になる事例を聞かせていただきました。

「ユースタイルラボラトリー株式会社」について

《中原さんより》
2014年に東京都中野区で在宅生活支援サービスの提供からスタートした当社は、現在全国36都道府県に事業所を設置するところまで成長することができました。事業につきましても、「訪問介護」「訪問看護」「通所介護」「ケアマネ」「研修事業」「人材派遣」とケアサービス事業を大きく展開しております。

当然、介護や看護のサービスを提供することがメインなのですが、特に近年では介護事業に携わるための「人材育成スキーム」を確立させまして、全国で資格研修授業の提供もしております。その際、各地域で開催します研修では、当事者の方にもご登壇いただき生の声を聞いていただく機会や実践に近い形での授業を実施しています。また、利用者の多くが重度障がい者の方々となりますので、医療ケアサービスの提供にも力を入れております。

障害者雇用に取り組んだきっかけ

当社は障がい者とのつながりが多い事業となります。そのため、一般的には障がいのことを知らないという理由からどうしても壁を築いてしまうこともあると思いますが、我々は仕事を通して自然と障がいのある方への理解ができていました。事業開始直後はそれほど大きな規模ではないところからのスタートでしたが、世の中のニーズに合わせた事業の拡大から障がい者の雇用を自社でも取り組まないといけない状態になってきました。
そのような中で、先ほどお話ししました様に全国で開催しています資格研修授業にご登壇いただく障がい者の方々との接点が多く生まれてきました。

以前から重度の障がいのある方の中には優秀な人材が眠っていることを強く感じており、時には自社の業務を手伝っていただくために仕事の依頼をさせてもらうこともありました。研修や業務の依頼などを通じてつながりができた障がい者の人となりが分かってきた方には、こちらから社員として働いてみないかと声を掛けるようにしてみました。そういったところから障がい者の雇用がスタートしました。

自社での障害者雇用の特徴

もともとは利用者と支援事業所という関係から始まった方々が多いので、重度の障がいのある方が社員として勤務してもらっています。障がいで言えば脳性麻痺の方になります。
当社では障がいのある方はもちろん、どの従業員に対しても「配慮はするが遠慮はしない」という姿勢で接しています。我々の事業は重度の障がい者に対する介護や看護を伴った支援サービスになりますので、命に関わるようなことも珍しくありません。
仕事上それぞれの方たちには重要な役割がありますので、業務に就いてもらうために必要なことはしっかりと伝え、理解をしてもらうことは当たり前のことです。これは障がい者であっても当社の一員である以上、当然のように求めています。

当社で働く重度の障がい者のほとんどはテレワークによる在宅勤務となります。会社への出勤は週に一回で、通勤ラッシュの時間を避けるように配慮しています。テレワークでの勤務に支障はなく、当社にとっては非常にメリットの大きな勤務形態です。

システム管理 宮尾さん

《宮尾さんより》
私は脳性麻痺があり、もともとは今から2~3年前に利用者としての立場で当社と関わっていました。エンジニアを目指して上京し、システム関連の仕事経験があることから、ある時に声を掛けていただき、その後社員として入社することになりました。現在は、会社全体で使用するシステムの管理やコンプライアンス関連の新規システム開発を行っております。今までに、介護スタッフの出勤管理システムや事業が24時間体制なので夜中などは連絡関係をオートメーション化させるためのシステム構築をしてきました。
「宮尾さんは当社にとってなくてはならない存在です。(中原談)」

本社への出勤は週に一回で、主には他のエンジニアとの打合せや情報連携を行い、その時に各部署から上がってくる要望に関連した新しいシステムの作成オファーについても詳細を確認しています。


宮尾さんから求職活動中の方々へ

私は重度の障がいがありますが、ユースタイルラボラトリーの仕事で不便を感じたことはありません。
これまで、「自分がやりたいこと」を見つけて実現させるまで諦めませんでした。例えば、やりたいことが見つからない人は色々なチャレンジをすることでやりたいことが見つかります。見つかっても諦めてしまう人たちは、途中に苦しいこともあると思いますが、負けずにゴールを目指してほしいです。
自分から発信することで新しい出会いが産まれます。私がそうでした。私は「東京に住む」「エンジニアになる」と強く思い、それを実現させました。思いが強いと夢は叶います




私自身、ユースタイルラボラトリーさんとの取材を通して気付くことがたくさんありました。
障がいを弱味ではなくひとつの特徴として捉え、個々の特徴を活かす雇用を実現すれば、障がい者も企業にとって大きな戦力となります。とても素晴らしい取り組みを見せていただきました。ご協力ありがとうございました。

『ユースタイルラボラトリー株式会社』
住所:東京都中野区本町1-32-2 ハーモニータワー1801
URL:https://eustylelab.co.jp/

ABOUTこの記事をかいた人

上前 忠司 (日本障害者雇用総合研究所代表)

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム