前回の続き
手軽に取り組むことができる「社会課題」
例えば、野菜の皮や芯の部分は「生ゴミ」として捨てられることが多いと思います。ゴミの日に出された生ゴミは、燃えるゴミとして焼却されるのですが、生ゴミは水分を含んでいるため紙ゴミよりも多いエネルギーを使って焼却されて、CO₂を排出しています。
昔々。といってもそれほど昔ではない時代、生ゴミは土に埋めて肥しの一部にしていました。
ところが時代が進み、ある地域に人口が集中し都市が生まれると地面が土からアスファルトへと変わりました。それぞれの家庭から出た生ゴミは埋める土がないため、一般ゴミとして集められ焼却されるサイクルが生まれた結果が現在です。
「環境のこと」「地球温暖化」「限りある資源の再利用」など、どこか遠い世界の話だと思っていたことが、新しい分野でのチャレンジに取り組むことで実は自分たちの暮らしや生命に関わってくることだということに気付かされ行動に移しました。
世界の砂漠化をひとりで止めることはできませんが、「何もやらない」「無関心」でいるよりも大きな一歩になると思い、『土づくり』を始めることにしました。そのひとつが『土づくり』です。
私の『土づくり』は「コンポスト」です。
堆肥をつくる容器。家庭からでる生ゴミや落ち葉、雑草などを容器に投入し、微生物の働きを活用して発酵・分解させて土を作ります。
インターネットで検索すればたくさんの情報を閲覧することができるのですが、とにかく簡単に「サステナブル」な取り組みを始めることができるという点で選びました。
用意したものは、
- 容器(ホームセンターにて購入・1,000円程度)
- ベースとなる土(容器の3/1程度)(畑から少し分けてもらう・タダ)
- 米ぬか(コイン精米機にて調達・タダ)
- おがくず(ホームセンターでカブト虫飼育用を購入・500円程度)
- 落ち葉(公園で採取・タダ)
の以上です。安価でスタートできるのも良い特徴です。
コンポストを始めた日、インターネットの情報をもとに見様見真似で作ってみましたが案外うまくでき、その日は野菜のくずもたくさんあったため、早速土を掘って埋めてみました。
そのままの状態から4~5日後にスコップで混ぜてみたところ、野菜の芯の部分は形が残っていましたが、葉のような柔らかいところは土に馴染んでいるように見え、わずか数日ですが土にいる微生物の働きが感じられます。
野菜以外にも、「コーヒー・お茶の葉の残りカス」「納豆菌(容器内)」など、排出される家庭ゴミもコンポストに入れます。
ひとりの力を大きな力につなげる
自分が『土づくり』に興味を持ち始めたことで、これまでは意識していなかった日常生活で出る家庭ゴミのことを気にするようになり、ゴミをそのままゴミとしてではなく資源として活用しようと行動するようになりました。その行動が家族や近しい人へと伝わっていくことで、少しずつ周囲も変化していくことが感じられます。
『土づくり』は個人であれば手軽に始められる分規模も小さくなりますが、地域や組織で取り組むような大きな活動に発展させることも可能です。町の清掃活動などで集められた落ち葉や雑草を土にすることで、「ゴミ」から「資源」に生まれ変わらせることは立派な社会貢献になります。
現在私は、企業や障がい者福祉事業所と一緒に、行政機関・住民・飲食店・学校などと共同で形成する「土づくりで資源の再利用」を企画し、地域に暮らす障がい者・高齢者・ファミリーといったそれぞれの役割りで参加できる「社会貢献活動」にしたいと思い準備を進めています。
但しこの活動は実現させるだけで終わらせるのではなく、持続した取り組みにできるようにすることが重要なポイントになってきますので、その点に時間を掛けて練っています。
地域で『土づくり』を実施する場合
- 大型のコンポスト、木製パネルを使用したボックスなどを準備
- 『土づくり』の原料を集める
- ・落ち葉・雑草:地域の清掃活動
・野菜などの生ゴミ:指定した回収場所に生ゴミを持参
※地域の飲食店・学校給食から出る生ゴミも有効活用 - それぞれの原料を積み重ねる際に米ぬか・適量の水を加えていく
- 原料を包むように土をかぶせる
- 定期的に下の方から混ぜ返して全体を馴染ませる
- コンポストやボックスを複数用意し、3ヶ月間隔で新しい土づくりを始める
- 上記のような作業を繰り返しながら、6ヶ月から1年掛けて土を作る
- 出来上がった土は公園や地域の花壇で活用
もし、『土づくり』に興味を持ったのであれば、先ずは「できることから少しずつ」始めてください。
ミツバチのはたらきと私たちの生活
もうひとつ、新型コロナウイルスのまん延をきっかけに取り組みを始めたのが『養蜂』です。
簡単に説明をすると「花の蜜を集めてくるミツバチの習性を利用して、春から夏にかけて巣箱に貯められたハチミツを採取する畜産業」になります。ほとんどの方は『養蜂』のことはなんとなく聞いたことがある程度の認識だと思います。
『養蜂』の歴史は古代エジプトの時代から始まり、世界中でもポピュラーな畜産のひとつで、ミツバチのはたらきが環境の保全に深い関わりがあると見られています。その証拠に、各国ではミツバチの数や養蜂業の推進に力を入れており、国連の発表では、「世界の食糧の90%を占める100種類の作物種のうち、70%はハチが受粉を媒介している」といわれています。
また、アインシュタインは「この世からミツバチがいなくなれば、人類は4年しか生存できない」といったように、普段気付かないところでのミツバチのはたらきが私たちの生活を支え、ミツバチのお陰で食糧品を口にすることができています。
続きは次回