取材レポート:株式会社ミンナのシゴト

今回ミルマガジンでご紹介するのは、ミンナのミカタぐるーぷのひとつ『株式会社ミンナのシゴト』です。

こちらでは、障がい者施設専門のプラットフォームにより、「仕事を出したい企業」と「仕事を探している支援事業所」をマッチングさせるビジネスを運営されています。

元々は就労継続支援A型事業とB型事業といった就労系障がい福祉サービスの提供をする支援事業から、障がい者施設専門のプラットフォーム事業をスタートさせた経緯や事業に込めた想いについて、代表取締役の兼子文晴氏と取締役事業部長の小島有子氏にお話を聞かせていただきました。

※リモートによる取材

事業の紹介

《話・兼子氏、小島氏》
非法人であるミンナのミカタぐるーぷには3つの法人があり、それぞれ「株式会社ミンナのミライ」が就労継続支援A型事業、「株式会社ミンナのナカマ」が就労継続支援B型事業、そして今回ご紹介します『株式会社ミンナのシゴト』が障がい者就労支援施設向けのアウトソーシング(BPO)事業を運営しています。

インタビュー:ミンナのミカタぐるーぷ

2021.03.11

この『株式会社ミンナのシゴト』による障がい者施設専門のプラットフォームというのは、企業と就労支援事業所をマッチングさせるサービスになります。施設に通う利用者たちへの仕事の提供に苦労している就労継続支援A型やB型の事業所は全国にたくさんあり、我々も同じ経験をしていました。

そのような中、ある名刺アプリを運営する企業からデータ入力の業務を請け負うことになりました。当初は仕事がたくさん入ってきたと喜んでいたのですが、進めていくうちに膨大なデータ量と想定していた労働力との間に差があったために納期に間に合わないかもしれないということが分かってきました。
支援事業所ではよくある話なのですが、通所している利用者の労働力を見込んでいても、当日になって体調を壊すなどの理由で休むことは少なくなく、計画通りに業務が進まなくなってしまうことがあります。
そのようなときに、地元・栃木で「事業者も障がい者も自立しよう」と、福祉事業所などの経営者らに呼びかけ設立しました、勉強会などを行っていた組合があるのですが、そちらのメンバーに相談したところ、他の就労支援施設から協力を得られることになったお陰で、納期に間に合うよう業務を終わらせるという出来事がありました。

実は、当時障がい者福祉に関する法改正があった時で、結果として全国にある就労継続支援A型事業所が廃業になるなど、事業運営に多大な影響が出ていました。
私自身、全国にある障がい者の就労支援事業所が廃業になることで利用者はもちろん、そのご家族や仲間の支援者たちが生活を続けられなくなることを防ぎたいという想いが生まれてきた時でもありました。

そこで、全国にある「仕事を出したい企業」と「仕事を探している支援事業所」をマッチングさせることで、両者がWin-Winの関係になるはずだと考え、「お仕事マッチングサービス ミンナのシゴト」をスタートさせました。
スタート当初は、仕事の受け皿となる支援事業所のエントリーを増やそうということで、私と小島の二人で全国の支援事業所に向けて営業活動を開始しました。1年目で支援事業所のエントリー数が増えたところで、2年目からは企業開拓を始め、現在も企業と支援事業所の数は順調に増加しています。

「仕事を出したい企業」は、突発的な業務や繁忙期などで普段の業務量を越えてしまうときにマッチングサービスを利用いただきます。こちらのサービスを利用することで間接的に障がい者の仕事が増え、所得の確保にもつながりますから社会貢献に参加していただいたことになります。
また、「仕事を探している支援事業所」にとっても、マッチングサービスにエントリーすれば、仕事をしてほしい全国の企業情報が閲覧できるため活用するメリットは非常に大きいと思います。

自社の特徴や強みについて

我々が運営している就労継続支援A型とB型事業も企業からの仕事の請負先のひとつとしてエントリーしていますので、全国からエントリーしていただいている支援事業所の気持ちや苦労する点などが非常によく分かります。そのため、事業所の方から仕事の進め方や工夫などについての相談をいただくこともあります。
また、逆に我々から支援事業所に相談をすることもあったりして、単なる契約上の関係ではなく同じ立場としての仲間のような、事業所同士の横のつながりを強く感じることがあります。

最近は、新型コロナウイルスの影響が当社の事業所を含め、多くの支援事業所にも出ています。
例えば、利用者の中には新型コロナウイルス感染への不安から通所ではなく、在宅での支援を希望される方もいらっしゃいます。そのような場合、当事業所では月に2回程度来所してもらっての面談、電話やチャットによる状況確認などを実施することで状態の変化にも対応しています。また、利用者からいつでも相談ができるような体制も整えています。
このように新型コロナウイルスに対する不安から在宅で支援を受けている方に、自宅でもできる仕事についてのご相談を支援事業所からいただくこともあるのですが、個人情報の取り扱いがあるような業務などは「セキュリティ上の問題」で在宅での業務に向かないといったアドバイスを行っています。

このマッチングサービスの強みとして、「業務量の多さにも対応できる」といったところがあります。仮に、「10日間で顧客100,000件分のデータベースを作成してほしい」というお仕事依頼があった場合、複数の支援事業所で仕事を分け合い業務に就きます
これは、先ほどもお話をしました様に当初予定していた労働力は利用者の体調などを考えた時に確保できにくいという点を逆手に取ることで、「1企業の仕事=複数の支援事業所」で対応することにより、依頼を完成させることができます。そのため、企業側も大量の業務量であっても安心して発注していただけます。

こういったことの積み重ねにより、企業から障がい者雇用のご相談もいただくようになりました。そのような時には、採用される地域にある支援事業所に声を掛けて対応をお願いしています。

目指す世の中

我々のミッションは「日本から障がいという言葉と概念をなくすこと」だと考えています。

当ぐるーぷの事業である就労支援事業やマッチングサービス事業を通じて得た経験をもとに、世の中に向かって「健常者と変わらない」「障がいがあっても戦力になる」ということを発信し、障がい者に対するイメージを変えていきたいと思います。
障がいのある人の仕事は、クッキー作りや箱を折るような単純作業だけだと思われていますが、実際にはIT系の業務やHP製作など、様々な仕事に就ける能力の高い障がい者もたくさんいます。障がい者のことをもっと知ってもらい理解が進むことで、いずれは健常者も障がい者も区別ない世の中にしていきたいと考えています。

私たちは障がい者のことを「ミンナ」と呼んでいます。
これは、健常者と変わらない「ミンナと一緒」だと言う考えから来ています。世の中には800万人の障がい者がいますので、「ミンナ」の「味方」でありたい。皆さんにも「ミンナ」の「味方」になってほしい。そして、世の中の一般的な障がい者の見方を変えたいと考えています。

繰り返しになりますが、障がい者のことをもっと知ってほしいと思っています。
障がい者の自立という意味では、企業の方々にも知ってもらいたい。そのためには、お近くにある就労支援事業の存在を知ってもらい、出来ることならば所内を見学し、障がい者を身近に感じてもらいたいと思います。当社の支援事業所では、企業の経営者の方々や新人研修の場として事業所見学にお越しいただいたりしていますが、参加者のほとんどが「障がい者へのイメージが変わった」と言っていただいてます。

今回の取材では、「はたらく障がい者」にとって明るい未来を感じました。それを実現させるためには、はたらく場を提供する「企業」と支える「支援事業所」が今よりもつながり成長することが求められると思います。
人も多様性が理解されつつあります。はたらき方や活躍する形も多様性があって良いと思います。『株式会社ミンナのシゴト』の今後の活躍を応援したいと思います。

株式会社ミンナのシゴトの皆さんご協力ありがとうございました。

『株式会社ミンナのシゴト』
栃木本社:栃木県鹿沼市貝島町512-4北星ビル3F
東京オフィス:東京都大田区羽田4-21-5
URL:https://minnanomikata.com/homepage/matching-service

ABOUTこの記事をかいた人

上前 忠司 (日本障害者雇用総合研究所代表)

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム