取材レポート:エヴィクサー株式会社「聴覚障がい者向け字幕ガイドと視覚障がい者向け音声ガイド」サービスのご紹介

今回、ミルマガジンではエヴィクサー株式会社が提供するスマートフォン・スマートグラスアプリ「HELLO! MOVIE」を活用した「聴覚障がい者向けメガネで見る字幕ガイド(字幕メガネ)」「視覚障がい者向けスマホで聴く音声ガイド」についてご紹介いたします。
話しをお聞かせいただいたのは、同社代表取締役社長 CEO 瀧川淳氏になります。

サービス提供のきっかけ

《話・瀧川氏》

私どもは、音響通信の技術開発をしている会社になります。
当社が障がい者の支援に関するツールに関わるようになったきっかけですが、2013年8月に当時上映された「貞子3D2」というホラー映画作品に合わせてスマホアプリと連動させた鑑賞サービスを提供するというプロジェクトでした。話の進行に沿って、出演者と同じように映画を観ている側も呪われていくといった演出です。例えば、音の技術を活用して、映画本編で電話を掛けるシーンであれば、自分のスマホに着信が入るといった具合に、ストーリーと連動する仕掛けになります。その一方で劇場内ではスマホの通話や外部とのインターネット通信の使用はNGですので、機内モードでサービスが受信できるようにするなどの工夫を加えました。

これらサービスに関する広報活動の中、NPOメディア・アクセス・サポートセンターという聴覚障がい者・聴覚障がい者が映像作品を楽しんでもらうための支援活動を行っている団体から障がい者の補助ツールに関する問合せがありました。
一般的に映画を鑑賞する場合、聴覚障がい者であれば音声、視覚障がい者であれば映像といった情報を取得することが困難なため、例えばご家族や友人たちと一緒に作品を楽しむこと・感動を得ることができません。
こういった現状に対して日本の映画会社が熱心に取り組みに対して協力的な姿勢を示していただくことができ、我々が提供するサービスを広めることが可能になりました。

サービスのご紹介

スマートフォン・スマートグラスアプリ「HELLO! MOVIE」を活用した「聴覚障がい者向けメガネで見る字幕ガイド(字幕メガネ)」「視覚障がい者向けスマホで聴く音声ガイド」では、聴覚障がい者は音声情報を字幕によって、視覚障がい者は視覚情報を音声によって情報を補うことができる支援ツールになります。
この「HELLO! MOVIE」は無料アプリとなっていまして、お持ちのスマートフォン(iOS・Android共に対応)にダウンロードすることで映画の音声ガイドを利用することができます。
また、字幕ガイドの場合、セイコーエプソン株式会社から販売されている「スマートグラス MOVERIO」にダウンロードしていただくことで、ご利用ができます。

セイコーエプソン株式会社「スマートグラス MOVERIO」
URL:https://www.epson.jp/products/smartglasses/

現在は、下記の字幕ガイド対応/音声ガイド対応を示すピクトグラムが掲示されている映画作品であれば、全国のどの映画館でもこちらのサービスをご利用いただくことができます。

例えば、聴覚障がい者の場合、音でしか伝わらない登場人物のセリフや効果音などがスマートグラス上に字幕で表示されます。また、視覚障がい者の場合は、映像でしか伝わらない場面や登場人物の表情などの情報を逐一音声ガイドで解説してくれます。映画館ならではの音響を片方の耳で映画を楽しみ、音声ガイドをもう一方の耳で聞くことによって映画のストーリーなどについての理解が進んだり、上映後すぐに家族や友人と感想を語り合うことができます

日常生活で得る情報に格差が生まれやすい聴覚障がい者・視覚障がい者ですが、障がい者と健常者が同じ情報量を得られる社会づくりが大事だと考えています。映画や演劇などの娯楽も含め、情報の量と質の格差が縮まってくればお互いに取り合うコミュニケーションもこれまでとは違ったものになります。

一昨年にあったエピソードになりますが、アニメ「鬼滅の刃」が流行った時期に、長野県松本市にあるろう学校の生徒たちから要望があり、近隣の映画館で字幕メガネの貸し出しサービスを新たに開始しました。聴覚障がいのある子どもたちがお母さんと一緒に映画を観たあとにも、映画のことで会話をすることができるという体験をしました。我々にとっても非常に嬉しい経験でした。

【参考】市民タイムスWEB「字幕メガネで「鬼滅の刃」 聴覚障がい者も一緒に映画」
URL:https://www.shimintimes.co.jp/news/2020/11/post-11673.php

当社はこのサービスを提供することで、障がい者に便利なものは健常者にも便利であるという発想に気付くことができました。それは、障がい者との関わりによって気付かせてくれたと思っています。高齢化社会となった現在ですが、誰もがいずれは高齢者になることを考えると障がい者だけでなく、多くの方々に向けたサービスになると感じています。
また、言葉による情報となると、外国人とのコミュニケーションの場でも活躍することが考えられます。そのため今後は海外に向けたサービスの提供も視野に入れていこうと考えています。

聴覚障がい者や視覚障がい者が日頃から抱える情報格差は、私たちが感じる以上に大きな問題です。例えば、外出中に災害や事故によるアラートが発生した場合、聴覚や視覚に障がいがある人は情報の取得に遅れが出るため回避するための行動に影響が出てしまいます。

今回、エヴィクサー株式会社が「HELLO! MOVIE」を提供することによって、格差が生まれない社会づくりのひとつとして大きな貢献をされたのではないかと感じました。
ご協力ありがとうございました。




『エヴィクサー株式会社』
U R L :https://www.evixar.com/
所在地:東京都中央区新川1-17-22 松井ビル1階

「HELLO! MOVIE」
URL:https://hellomovie.app/

ABOUTこの記事をかいた人

[障害者雇用コンサルタント]
雇用義務のある企業向けに障害者雇用サポートを提供し、障害者の雇用定着に必要な環境整備・人事向け採用コーディネート・助成金相談、また障害者人材を活かした事業に関するアドバイスを実施。障害者雇用メリットの最大化を提案。その他、船井総研とコラボした勉強会・見学会の開催や助成金講座の講師やコラム執筆など、障害者雇用の普及に精力的に取り組んでいる。

▼アドバイス実施先(一部抜粋)
・opzt株式会社・川崎重工業株式会社・株式会社神戸製鋼所・沢井製薬株式会社・株式会社セイデン・日本開発株式会社・日本電産株式会社・株式会社ティーエルエス・パナソニック株式会社・大阪富士工業株式会社・株式会社船井総合研究所・株式会社リビングプラットフォーム