取材レポート：ショップ&ギャラリー『神戸ふれあい工房』

兵庫県神戸市は障がい者福祉に関する取り組みに熱心な自治体であり、ミルマガジンでも過去何度も取材にご協力をいただきました。

【過去の取材記事】

取材レポート：神戸市『商品力向上支援制度』『神戸市障がい者手帳カバー制作』

2021.11.02

取材レポート：神戸市と日本生命保険相互会社連携協定事業

2021.12.14

取材レポート：神戸市 福祉局 神戸ひきこもり支援室の取り組み

2022.02.08

市内にある障がい福祉施設や障がい福祉サービス事業所で障がい者が製作されたオリジナル商品を販売するショップ『神戸ふれあい工房』（平成11年オープン）が、令和5年3月31日に神戸市営地下鉄海岸線 三宮・花時計前駅構内（改札外）にリニューアルオープンをしましたので取材に行ってきました。
『神戸ふれあい工房』は就労継続支援B型事業所として社会福祉法人みかり会が運営されているカフェ「Link tree（リンクツリー）」に併設されています。

取材当日は、同カフェの店長である山下美春氏から話をお聞きしました。

カフェ「Link tree」が運営する『神戸ふれあい工房』について

《話・山下氏》

Link treeがオープンして目まぐるしい１ヶ月でした。スタッフとも振り返りをしましたが、B型事業所あるいはカフェといったところで初めて働くスタッフばかりだったこともあり、みんなにとってもあっという間の１ヶ月だったというのが率直な感想です。
オープン当初は神戸市職員の方々や福祉事業所の関係者が多かったのですが、しばらくすると食事されたお客様が自身のブログやSNSでお店を紹介していただいたことで関係者以外のお客様も増えてきました。

『神戸ふれあい工房』はいろいろな方々にふれあい商品を通じて障がいのある方が働くことを知ってもらうための場だと思っています。
現在、神戸ふれあい工房に登録している市内約60ヶ所の障がい福祉事業等のうち、16カ所の障がい福祉事業所等に通う障がいのある方が製作した商品を「神戸ふれあい工房」で展示・販売をしています。店頭に並ぶ商品はクッキーやパウンドケーキなどの焼き菓子が中心となっています。
今後は季節に合わせたお菓子を並べたり、参加事業所を増やすことでお菓子以外の雑貨など幅広い商品を取り扱い、店頭を賑やかにしていきたいと考えています。商品の売り上げは製作した障がい者の工賃として支払われます。ひとりでも多くの方に商品を手に取っていただき、気に入ったものがありましたら是非購入していただきたいと思います。

カフェ「Link tree」では、

• モーニングタイム　8:00〜11:00（卵かけごはん&味噌汁のセット他）
• ランチタイム　　　11:00〜14:00（おにぎり&トロトロ煮豚と具がたっぷり入った満足豚汁他）
• カフェタイム　　　14:00〜20:00（ソフトドリンク類、フレンチトースト、ミニパフェ等デザート類）
• バータイム　　　　16:00〜20:00（おつまみ・料理&神戸ワイン、アルコール類）

といったそれぞれの時間帯に合わせたメニューを提供しています。

カフェでは、現在おられる障がいのある方には洗い物や接客・販売等を担当していただいていますが、その方の特性にあわせた、例えばカフェ内の清掃やふれあい商品の陳列等、様々なしごとがあります。
地下鉄海岸線三宮・花時計前駅の改札が近くにあり、多くの方々が行き交う場所であることからカフェ「Link tree」を通じて、地域の皆様とのつながりを大切にし、障がい者の働き方について皆さんに知ってもらいたいと考えています。

神戸市 担当者のお話

当日は、神戸市 福祉局 障害福祉課係長 山下清治氏と同じく係長 浅田亜貴代氏からもお話をお聞きしました。

《話・山下氏、浅田氏》

神戸ふれあい工房のリニューアルオープンに向けては、ふれあい商品の紹介、販売のみではなく、障がい者の就労機会などを兼ね備えた場となる仕組みを検討しました。昨年の夏、立地を活かして広く市民に開かれた新たな障がい者就労の場を創出すると同時に、創意工夫のもとふれあい商品の販売等を通じて、市民の障がいへの理解を促す新たな障がい者就労のモデルとなる事業を提案・運営する事業者を公募、社会福祉法人みかり会が選定されました。

神戸市内で、障がいのある方が障がい福祉事業所等で作られた商品を販売するところは限られているため、社会福祉法人みかり会におしゃれなお店カフェ「Link tree」をオープンしていただき大きな期待を寄せています。

オープンして間もないですが、カフェの利用者も多く、『神戸ふれあい工房』の商品の売れ行きも好調だと聞いています。障がい者が製作した商品を直接手に取ることができる場所ですので、たくさんの方々に知っていただきたいと思います。
また、広いカフェスペースを利用して企業と障がい者・障がい福祉事業所等との接点が生まれる場として、ワークショップを開くなどご提案いただいていますので、様々な用途としても活用していきたいと考えています。

完成したばかりのお店は木の温もりが感じられるデザインで統一されており、初めての訪問でも居心地のいい空間となっています。店内の奥の壁には同法人が運営する児童施設に通う障がいのある子どもたちと障がいのない子どもたちが描いた作品が私を出迎えてくれました。

日本全国に数多くある障がい者施設や障がい福祉サービス事業所では、通っている障がい者が日中活動を通じてお菓子や雑貨製品といった独自商品を作っているところが多くあります。
しかし、一般の生活を送る中で障がい者が作ったこれら商品を手にする機会は限定的となり、多くの方の目にとまることがほとんどありません。『神戸ふれあい工房』のような障がい者の活動を認識できる場所が、身近な存在として広まってほしいと感じます。

今後、『神戸ふれあい工房』に参加する事業所の増加に伴い取り扱う商品も増えるということで、今以上に活気あふれるお店になるのが楽しみです。