「失敗してきてください」の一言が僕の背中を押してくれた

「失敗してきてください」

この言葉は、僕が就労移行支援から企業実習(インターン)に行くときに、支援者から掛けてもらった言葉です。

「失敗してきてください」 は、就労移行支援に通っていても、難しそうなことがない、困っている感じがしない僕を見て、苦手や困難、就職した際の配慮事項を見つけるために支援者の方が言ってくれたんだろうと思います。

正直、言われた時には「は?この人は何を言ってんねん」と思っていました。ですが、その言葉が今では僕を支える言葉になっていることは間違いありません。

「なんでわざわざ失敗せなあかんねん」と思っていた(口にはしてない)

冒頭でも書いた通り、「失敗してきてください」と言われた僕は「は? なんでわざわざ失敗せなあかんねん(実際こんなコテコテの関西弁は話しませんw)」と思っていました。もちろん、支援者との関係上思ってはいても口には出しませんでした(笑)

でも、誰だって「失敗してきてください」なんて言われたら、僕と同じように感じるのではないかと思います。

企業実習だろうと失敗なんてしないに越したことはなくて、成功体験を積むことが企業実習の目的のはずです。にも関わらず、企業実習に行く僕に対して「失敗してきてください」なんて一言は、「は?」と感じても仕方がなかったと今でも思います。

「失敗=悪いこと」ではないと頭ではわかっているけど…

障害者として就職を目指すにあたり、僕は就労移行支援と障害者職業センターに通いました。どちらの施設でも支援者の方からは「失敗は悪いことじゃないんですよ」的なことを教えられました。

「失敗は悪いことじゃないんですよ」と教えるのは、「失敗=悪」と考えてしまうことで、自分を追い込んでしまったり、自分をダメ人間だと思ってしまわないようにするためだと思います。

そして僕自身、何度も「失敗は悪いことじゃない」と教えられたことで、「失敗=悪いこと」ではないと頭では理解していました。

ですが、いざ企業実習に行ってみると、「失敗しないように失敗しないように」「ヘマだけはしないように」とおまじないのような言葉が頭によぎっていることに気が付きました。これは結局、「失敗=悪」ではないと理解はしているけど、失敗することを納得できていない、認めたくないってことの証なんだろうと思います。

表面的に、言葉的に何かを理解することはそれほど難しくはありません。ですが、その言葉を納得した上で行動するとなると話は別なんだなってこと、そしてそれを実際に行動に移すことは難しいんだということをこのとき改めて感じました。

「失敗してきてください」の一言で、「もうどうにでもなれ!」と一歩を踏み出せた

企業実習に行って、「失敗したくない失敗したくない失敗したくない」と思っていた僕は、与えられた業務を無事にこなすことだけを意識していました。

ですが、ふと思ったんです。

「今のまま実習を終えてしまっていいのだろうか?」
「このままでは実習を通して何も得られないし、何の発見もないのではないか?」
「与えられた業務をただ行い、何も挑戦せずに終わっていいものだろうか? 」

と。

ただ実習を行うだけでもよかったのかもしれません。ですが、それならもっと別の、もっと楽な実習先でもよかったと思うんですよ。

そこで「どうすれば、この機会をよりよくできるのか?」と真剣に考えたときに、支援者からの「失敗してきてください」の一言が頭をよぎります。そして、「やる前から失敗のことなんて考えても意味ない!失敗したらそのとき考えればいい」と思えたことで、僕は大きな一歩を踏み出せました。

「失敗してもいいや」という気持ちが就職活動で背中を押した

「失敗は悪いことじゃない」を頭で理解することは簡単です。

でも、頭で理解していても行動に移せなければ意味はありません。

これを就職活動に当てはめて考えてみます。

「選考に落ちることはダメじゃない。むしろ普通のことだ」と多くの人はわかっていますよね。でも「選考に落ちたくないから書類は出さない」という人が多くいることもまた事実です。

これは結局「失敗はダメなこと」という認識を拭い去れていない証拠なんです。「選考に落ちること」は就職活動でいえば失敗で、その失敗をしたくない、認めたくないという気持ちの表れなんです。

もし、支援者からの「失敗してきてください」という一言がなければ、僕の就職活動は「通過できそうなところだけ書類を出す」だけだっただろうと思いますし、就職活動はかなり長引いていたのではないかと思います。

ですが、「失敗してきてください」の一言と、「失敗してもいいや」と思えたことで、就職活動に対して大胆になれました。「落ちてもいいや」と。むしろ、「落ちるのが普通。落ちたらその時考えよう」くらいに考えることができました。その結果、むやみに就職活動を長引かせることなく、スムーズに終えることができました

さいごに

失敗なんてしないならしないに越したことはないですし、僕だって失敗はできる限りしたくないです。

でも、何かに挑戦するのであれば、失敗は付き物だいうこともまた事実です。

失敗を恐れる気持ちはよくわかりますし、「失敗なんてしたくない」と踏みとどまってしまう感覚もよくわかります。

ですが、失敗をせずに何かをやり遂げることは到底不可能です。

就職活動をするならば、不採用は付き物ですし、新しい仕事をすればわからないことに直面することもあるでしょう。でも、それは決して悪いことではないと思います。むしろ、それが普通です。それは何かに挑戦した証でもあります。前進している証でもあるでしょう。

僕にとって「失敗してきてください」という一言が背中を押したことは間違いありませんでした。

もし、周りに一歩が踏み出せずに困っている人がいたらこう言ってあげてください。

「失敗してきてください」と。

ABOUTこの記事をかいた人

中村 祐基 (大手電機メーカー勤務)

就労移行支援を経て、大手電機メーカーに障害者として就職。診断名はADHD(注意欠陥多動障害)。吃音症と糖尿病も併せ持ちます。集中力のなさと、物忘れが多い半面、情報処理は異常に速い。言ってはいけないことを言ってしまい怒られることもしばしば。ミルマガジンでは、障害者として就職活動をしたこと、就職している実体験について主に書いています。